穀粉用の空圧式輸送システム
あらゆる種類の穀粉(小麦、米、大豆、ライ麦、オーツ麦など)を合計すると、世界で最も生産量の多い食品になります。つまり、1日に驚くほど大量の穀粉を移動させる必要があるということです。小麦粉だけでも、輸送量は平均200万トンを超えます。船舶、列車、トラックなどのあらゆる輸送手段が、ある場所から別の場所への輸送に利用されています。空圧式輸送は、穀粉の荷役作業や、生産および加工施設内での移動に効率的な方法です。
効率的な穀粉輸送
空圧式輸送が穀粉全般、特に小麦粉の効率的な輸送に最適な方法である理由は数多くあります。正しい機器を導入していることを最低条件として、空圧式輸送の多くの利点を充分に活用するためには、考慮すべき点がいくつかあります。まず、材料そのものです。たとえば小麦粉は、比較的微細な材料(0.3 mm未満)です。つまり、空圧式輸送の各種方法や相を利用して輸送できるため、優れた柔軟性が実現します。小麦粉の場合、希薄相と濃密相の両方の輸送方法に対応するため、空圧式輸送に最適です。次に、新規または既存の設備のサイズを確認する必要があります。輸送する小麦粉の種類に最適な流量と空気圧を確保することで、スムーズで効率のよい輸送プロセスを構築できます。ブロワやコンプレッサのサイズが不適切な場合、高額のエネルギーコスト、頻繁に起きる閉塞、荷下ろしの長時間化などにつながる可能性があります。
穀粉輸送時の安全性および品質に関するガイドライン
穀粉輸送システムに適した機器を選択する際、品質と安全性の2つは重要事項です。これには、製造/加工施設の物理的な安全性と、食品安全性に関する課題の両方が含まれます。穀粉は危険とはみなされませんが、ばら積みで移動させる際には可燃性材料であり、発火する可能性があります。また、食品として、厳格な品質基準の対象となります。上記2つの理由から、小麦粉は40℃未満の温度で輸送する必要があります。この温度を超えると、爆発を引き起こしたり、穀粉の品質を損なうおそれがあります。
穀粉などの食品材料を輸送する場合、空気が材料に直接接触するため、オイルフリーブロワ/コンプレッサを使用することも重要です。オイルフリーエアブロワとコンプレッサは、製品のオイルによる汚染を確実に防ぎます。
穀粉に最適な空圧式輸送システムの設計
小麦粉用に最適に設計された空圧式輸送システムは、これらの問題すべてに対処し、品質に影響を与えることなく、大量の穀粉を効率よく、安全に移動させることができます。
穀粉輸送用のオイルフリーエアブロワとコンプレッサ
設備をできるだけ効率よく稼働させるには、適切なサイズのブロワやエアコンプレッサが必要です。適切なサイズのコンプレッサやブロワを特定するのは困難で、特殊なソフトウェアが必要になる場合もあります。既存の設備に対処する場合においても、古い機器1台を新しい機器1台と入れ替えることは、必ずしも最も効率的なソリューションではありません。新しいブロワやコンプレッサに投資する前に、必ずサイジングを行ってください。
以上に加えて、お客様のコンプレッサまたはブロワがクラス0認証であるか、オイルフリーエアを供給することを確認してください。クラス0認証により、圧縮プロセス中の空気へのオイル混入がなくなります。
爆発リスクの排除
穀粉をできるだけ安全に輸送するには、ブロワ、コンプレッサ、補助機器が高リスク環境における稼働の認証を取得している必要があります。標準製品の場合、圧縮空気システムを安全に稼働させるために、一定の設計変更を行う必要が生じるため、適切ではありません。取り扱う材料の種類や環境に適用される地域の特定のガイドラインを把握することで、お客様の輸送プロセス向けのカスタムソリューションを構築することができます。
アフタクーラ
コンプレッサやブロワに加えて、温度を40℃未満に抑えるためのアフタクーラが必要となります。これにより、穀粉の発火や燃焼を防ぐことができます。
お使いの穀粉用空圧式輸送システムが安全に稼働することを保証するため、必ず、関連機器が地域のガイドラインに準拠した認証を取得していることを確認する必要があります。これにより、穀粉などの可燃性材料に対応した安全な稼働が保証され、爆発リスクを最小限に抑えることができます。
一部のコンプレッサには、アフタクーラが内蔵されています。ブロワの場合は、別途取り付けが必要です。水冷式アフタクーラを選択した場合は、チラーの追加が必要になることもあります。チラーは水温を制御できる一定レベルに下げて、アフタクーラが確実に動作できるようにします。
水分離器またはドライヤ
冷却プロセスにアフタクーラを追加すると、水分が発生するため、システムに水分離器やドライヤを追加して、小麦粉の品質を保護する必要があります。ほとんどの内蔵アフタクーラには、内蔵式水分離器が付属しています。特定の場合においては、水分離器の代わりにドライヤを使用して、空気から水分を除去することもできます。
穀粉流動化の役割
サイロから穀粉を輸送する際、圧縮空気をいわゆる「流動化」プロセスに使用することもできます。この場合、サイロ底部の側壁に極低圧の空気が吹き込まれます。これにより、穀粉がサイロ側面に付着することなく、輸送が容易になり、エネルギーコストが削減されます。このような極低圧輸送では通常、補助機器は不要です。ただし、食品製造に使用される(原)材料はすべて、一定の高品質基準に準拠する必要があるため、穀粉用の流動化システムには、穀粉の最高品質を維持するためのアフタクーラと水分離器またはドライヤが必要となります。
穀粉輸送システムの最適化にサポートが必要ですか?
旧式の圧縮空気システムをどのように新しいものと交換したらよいかご不明な場合は、当社がお手伝いいたします。正しい設置サイズが重要です。それにより、エネルギーコストを節約できるだけでなく、荷下ろしの時間を短縮し、閉塞を回避することもできます。正しい設置サイズ計算は難しく、特定のソフトウェアとスキルが必要です。当社は、無料のサイジング計算サービスを提供し、お客様の最適な希薄相空圧式粉末輸送システムの選択をお手伝いします。
穀粉輸送システムのチェックリスト
- 適正サイズのエアブロワまたはコンプレッサ
- クラス0認定
- 可燃性物質輸送の認証
- 空気を冷却するアフタクーラ
- 湿度を除去する水分離器またはドライヤ