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ポンプ揚程と総揚程によりポンプ性能を把握

簡単に言えば、揚程はポンプが流体をくみ上げることができる高さのことで、メートル単位かフィート単位で示されます。揚程という用語は、遠心ポンプについて記述するときに使用されます。理由は、遠心ポンプの特性が流体の比重(または相対密度)とは無関係になりがちだからです。 

揚程と圧力を混同しないように

揚程が圧力と混同されることがありますが、その理由はこの2つのパラメータ間に密接な関係があるからです。しかし、根本的な違いがひとつあります。

揚程は流体に依存しません。つまり流体の相対密度に関係はなく、ポンプがくみ上げる高さは変わりません。したがって、流体が水であるか汚泥であるかは問題ではありません。

一方で、圧力は流体に依存し、重力の影響を受けます。したがって、同じ揚程でも流体の相対密度に応じて異なる圧力が生じます。

吸引レベル

吸引条件もポンプ揚程に関係します。吸引レベルが低ければ測定される揚程は小さくなり、吸引レベルが高ければ揚程は大きくなります。ポンプのモータは電気エネルギーを機械的エネルギーに変換し、それをポンプが圧力として流体に伝えます。したがって、吸引レベルを上げたり下げたりすることで、流体の潜在的な圧力が調整されます。ポンプが生み出す圧力が大きいほど、揚程は高くなります。

総揚程

ポンプの総揚程

図1:摩擦損失が配管、ベンド、ゲートバルブ、ストレーナの長さやサイズ、および流量速度による影響を受ける。

ポンプメーカーは吸引レベルのパラメータを知ることができないため、ポンプの総揚程を計算します(図1)。それには、海抜として測定される総吸引揚程を、総排出揚程から引きます。次の重要事項は、どのくらいの摩擦を考慮すべきかという点です。摩擦損失は、流体が通る配管、ベンド、ゲートバルブの長さやサイズによって変わります。揚程と摩擦損失の和が総揚程になります。総揚程がポンプ性能として圧力より信頼できるのは、吸引状態に関係なくポンプができることを示すからです。総揚程と流量要件を組み合わせることで、適正なポンプを選ぶことが可能になります。

ポンプ性能

スラリーポンプの性能曲線

図2:アトラスコプコのWEDA L100N(60Hz)スラリーポンプの性能曲線

特定の速度(RPM)におけるポンプの性能は、メーカーのデータシートに流量(Q)と揚程曲線の対比(図2)として記載されています。最大揚程(赤い丸)で、ポンプの流量はゼロかほとんどありません。これを大抵は締切揚程と呼びます。ポンプを探すときは、揚程により生じる流量が十分であることを確認してください。たとえばポンプを180 m³/h(780USGPM)で運転する場合、最大揚程は26 m(86 ft.)になります。この選択方式が適用されるのは遠心ポンプだけです。ピストンポンプの場合はより多くの圧力が生じるので、選ぶ際の基準になるのは流量だけです。流量の単位は、北米ではUSガロン/分(USgpm)です。一方、メートル法を使用する国では、単位はリットル/分(l/min)、立法メートル/時間(m³/h)、またはリットル/秒(l/s)となります。そのため、選ぶ際は必ず単位を確認してください。

まとめ

総揚程パラメータは、用途に適したポンプを購入またはレンタルするときに重要です。吸引レベルや流体密度といった他の要因に関係なく、ポンプ性能の正確な指標となります。

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ポンプ揚程と総揚程によりポンプ性能を把握

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