新しい素材のプラスチックがバルブシステムの品質を飛躍的に高めます。

Aventics社は、自社の透析装置のバルブシステムに使用されるプラスチック部品を変更したところ、従来使用していたエア式ドライバで締付けたトルクの値が設定した上限値を超えてしまいました。そのため、ねじ山に負荷がかかり、不具合率が大幅に上昇しました。それを解決したのは、MicroTorqueスクリュードライバです。このドライバシステムを使えば、この新しい素材を安全なプロセスで組み立てることができます。

2018/06/27

「頑丈でコンパクトなエア機器は、ライフサイエンス分野でますます重要になってきています。」と、ドイツのラッツェンに拠点を置くAventics社で品質管理を担当しているダニエル・ゲーベルト氏は述べています。「医療分野では、電気的、機能的に高度に統合された低圧用途向けのソリューションへのニーズが次第に高まってきています。」ゲーベルト氏は、同社の豊富な製品ポートフォリオの一例として、透析装置のバルブシステムを挙げます。「このような用途には、締付け精度とシステムへの高い信頼性が必要なので当社は、常に製品を改良する努力を継続しています。」

プラスチックを変更したことで、ねじの緩みが発生

Aventics社は、今後の製品開発においてシステムのベースプレートに新しいタイプのプラスチックを使用することを決定しました。しかし、プレシリーズ段階で、ねじ山への過負荷が数多く発生してしまいました。ダニエル・ゲーベルト氏は問題解決プロジェクトを開始しました。エンジニアリングチームはシステム全体を詳しく調べ、すぐに問題の原因を発見しました。これまで使用されていた空圧式ストレートナットランナが、ベースプレートの新しい素材には適していなかったのです。このタイプのツールは設計上、一定のトルク値かつ一定の速度でしか、ねじを締めることができません。「ツールの慣性力のために、セルフタッピングねじが締められたときに、ねじ山が痛んでしまっていました」と、ゲーベルト氏は述べています。新しいプラスチックは化学的観点から見ると適していたのですが、脆弱でもあったのです。それまで使用されていたプラスチック製コンポーネントは、新しいプラスチック製コンポーネントよりも厚く、頑丈で、強度が高いものでした。指定トルク値は 18 cNm(= 18 センチニュートンメートル、または数百ニュートンメートル = 0.18 Nm)という極めて低いのですが、この値を繰り返し超過しても損傷しませんでした。新しい素材への変更は、Aventics社が、安全な組み立てプロセスを確保することを視野に入れてそれまで使用されていた締付けシステムを見直すきっかけとなりました。

医療用エアバルブの組み立てプロセス

写真:アトラスコプコツール

「弊社では20年も前からエアツールを使用しており、問題が発生したことはありませんでした。」と、ゲーベルト氏は説明します。「しかし、これほど複雑で小型の組み立て用途は今までなかったのも事実です。」この用途では、Torx-T2ヘッド付きセルフタッピングM1.6ねじを総計44個使用して、全体のサイズが約12 cm x 14 cmのベースプレートに、フィルタとスリーブを備えた22個の小型バルブを設置する必要があります。さらには、組み立てプロセスの後には、全数検査を行います。「リワーク作業や交換が必要な不具合が発見された場合、コンポーネントごとの追加の人件費はすでに約20ユーロとなります。」と、同氏は言います。Aventics社は、この用途にアトラスコプコが提案したMicroTorque電動スクリュードライバを採用することにしました。デジタルで監視され、この電流制御のドライバは、12.5~50 cNm(0.125~0.5 Nm)の広い動作範囲に加え、操作が容易で広い用途に活用できることで、Aventicsチーム社のチームを驚かせました。

“ハンドヘルド空圧式ストレートナットランナと比較して、MicroTorqueシステムは、はるかに騒音が少なく、高精度です。”

Frank Straubel , Aventics社従業員

洗練された締付け方法で素材に勝つ

直径0.93 mmのセルフタッピングねじはわずか4.5回転しか回りませんが、MicroTorqueスクリュードライバ(QMC41-50-HM4)は、この非常に短い間に3ステップの締付けプロセスを完了します。ダニエル・ゲーベルト氏が、このプロセスを詳しく説明してくれます。「締付けの最初のステップで、ドライバが速度を下げて回転し、ツールをTorx-T2ねじ頭に挿入します。この挿入ステップが完了すると、回転角度制御のステップに切り替わり、ねじ頭が素材表面に着座するまで500 rpmでねじが締められます。ねじが着座するとすぐに、回転速度は210 rpmにまでに減速し、トルク制御ステップになり、ターゲットトルク値18cNmまでねじが締められます。」MicroTorqueシステムは、すべてのステップで回転速度を自在に設定プログラムできるので、様々な締付け用途に利用することができます。スクリュードライバとコントローラが発するLEDライトと音の信号により、オペレータは、いつでも組み立て結果を確認することができます。その年の秋が終わるまでに、システムは何の問題もなく8万回の締付けサイクルを行いました。

“締付け作業を制御して監視できるようにしたところ、不具合率は実質的にゼロになりました。”

Ayhan Horoz , 生産計画担当者

詳細な締付けプロットで品質を監視

アトラスコプコが新たに開発したシステムの素晴らしさはこれだけではないと、ゲーベルト氏は強調します。「MicroTorqueコントローラは非常にコンパクトな設計となっており、そのグラフィック機能は、実に素晴らしいものです。普通のPCに接続するだけで、コントローラは詳細なグラフと締付けプロットを印刷してくれます」グラフとプロットは明確で分かりやすく、締付けプロットの分析を通じて締付け作業を詳細に分析し、プロセスの各段階で起こっていることを正確に把握することができるようになりました。「これはエアツールではまったくできなかったことです」

締付けプロットが供給されるコンポーネントの品質を示唆

“出力されるグラフにより、ねじ挿入時の抵抗のばらつきを正確に検出できます。このようなばらつきは、例えば射出成形部品のねじ穴の直径が、指定された許容値の範囲外である場合に発生します。MicroTorqueスクリュードライバは、ねじの挿入時に、摩擦力の変化をマイクロ単位で検出します。 ”

Ayhan Horoz , 生産計画担当者
Aventics社の組み立てプロセス

写真:アトラスコプコツール

このスクリュードライバシステムのもう1つの利点として、アイアン・ホロズ氏は、サプライヤから購入したコンポーネントの品質を評価できることを挙げています。摩擦力の値が指定値とかけ離れていた場合、Aventics社は、締付けパラメータを調整したり、問題のコンポーネントの受入を拒否してサプライヤに苦情を申し出たりすることで対処しています。このアプローチにより、ねじのコーティングのわずかな変化やプラスチック部品の材料特性も明確になります。

フランク・シュトラウベル氏が、制御されたMicroTorqueスクリュードライバシステムを使用して、ライフサイエンス分野の空気圧コンポーネントを組み立てています。バルブシステムを44個の極小ねじM1.6を使用して締付けます。締付け本数は自動的にカウントされます。

オペレータは人間工学から得られる利点を高く評価

Aventics社

Aventics社、品質管理責任者のダニエル・ゲーベルト氏(左)と生産計画担当者のアイアン・ホロズ氏(写真:アトラスコプコツール)

締付けプロセスの安全の確保と技術的なパフォーマンスの大幅な改善だけでなく、そのシステムがオペレータに広く受け入れてもらえることも重要です。エアナットランナと比較して、MicroTorqueシステムの動作音はとても静かです。QMC41-50-HM4ドライバはリニアアームによって固定されており、オペレータの負担をさらに軽くします。ですからオペレータはすぐにこの新しいドライバシステムを受け入れてくれました。「3ステップの締付けプロセスのおかげで、高トルクでも精度よく締付けることができるようになりました。その結果、締付けにはとても重要なことですが、正しいプレス力で締付け作業を最初から最後まで管理するこが可能になりました。」と、この用途が豊富なMicroTorqueドライバシステムを導入トライが成功した後に購入したダニエル・ゲーベルト氏は述べています。「現在、組み立て作業はかつてないほどうまくいっています。」

“3段階の締付けプロセスのおかげで、私たちは不具合率を大幅に下げ、かつてないほど正確な生産を実現しています。”

Daniel Gebert , 品質管理責任者

記事:ヘイコ・ウェンケ