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ポールポジション:アトラスコプコ、世界初の完全電気自動車全国ツーリングカー選手権に電力を供給

エネルギー体験

2023/10/26

これまで、ツーリングカーレースはガソリンエンジン車を対象に開催されてきました。しかし、2024年には変化が起きようとしています。スカンジナビアツーリングカー選手権(STCC)は、電気ツーリングカーを対象とした初の全国レースシリーズとして開催されます。この変革を実現する鍵となるのは、電気自動車の充電に使用されるアトラスコプコのZBCバッテリベースのエネルギー貯蔵システムです。

スカンジナビアは、気候変動に対処する取り組みでよく知られています。この地域の国々は、特に市の中心部で排出ガスを削減するため、厳しい規制を設定しています。STCCでは、完全電気自動車を対象とするため、レースの持続可能性が向上するとともに、競技を市内で開催できます。これは、スポーツとその観客には楽しみな展望です。

アトラスコプコのZBC 250-575エネルギー貯蔵システムにより電気レーシングカーに電力供給

アトラスコプコのZBC 250-575エネルギー貯蔵システムにより電気レーシングカーに電力供給

世界的に大規模なエネルギー転換が進行していることに伴い、化石燃料から電力使用に移行しています。モータースポーツ業界もその例外ではありません。しかし、電気ツーリングカーのレースは、一般消費者向けの電気自動車の運転とは大きく異なります。電気自動車を対象としたSTCC開催に当たって当社が直面した大きな課題は、コンセプトがなかったことです。当社には、新しい自動車とその新たな駆動方法が必要でした。そこで、当社の夢の実現を支援できる信頼できるパートナーを見つける必要がありました。

Micke Bern , STCCのCEO

アトラスコプコは、効率と信頼性に優れた電源を長年にわたって提供してきました。また、高度なエネルギーソリューションに関する専門知識で世界的に定評があります。STCCは、アトラスコプコの革新的なエネルギー貯蔵システムを認識していたため、支援を依頼しました。この意欲的なプロジェクトは、新しいレーシングカーを充電するための移動型のエネルギーユニットを開発し、プロセスでの燃料消費を排除して、環境への影響を低減するというものです。

電気の選択

レース用電気自動車に不可欠な点は、エネルギーを供給し、バッテリを迅速かつ効率的に充電できるとともに、排出ガス規制に適合することです。

 

「できるだけ持続可能な状態に移行することを目指しており、ディーゼル発電機よりもバッテリベースのユニットを選択しようと考えました」と、ミッケ氏は説明します。「選択したエネルギーシステムは、再生可能エネルギーなどのさまざまなエネルギー源からのエネルギーを管理して、ツーリングカーにレースで十分な電力を確保できるよう、必要に応じて供給できる必要がありました。」

2023年最終イベントのSTCC電気レーシングカー

2023年最終イベントのSTCC電気レーシングカー

「STCCでは、さまざまなソリューションを検討していましたが、アトラスコプコが容量と移動性のいずれでも適切なパッケージを提案しました」と、アトラスコプコの地域販売代理店であるSMT Sweden社オーナー兼CEOのトールビョン・ハーカンソン氏は述べています。

 

ツーリングカーレースでは大量のエネルギーを使用するため、電力バンクには、自動車の充電器へのエネルギー供給だけではなく、システムに貯蔵される大量のエネルギーにも対応することが求められました。

 

「容量はとても重要でした」と、ミッケ氏は述べています。「自動車には45 kWhと800 Vのバッテリが搭載されており、各セッションでは約360 kWhを使用します。通常、1日に2回のセッションがあり、週末には4回のセッションがあります。都市部のイベントでは直接対決があるため、フォーマットが若干異なり、エネルギーの使用量も少なくなります。しかし、大都市圏では、イベント中の温室効果ガスの排出を避けることが特に重要です。」

 

また、貯蔵システムには、各レース会場を簡単に移動して、到着してすぐに始動できることが求められています。

ソリューションで急成長

ZBCエネルギー貯蔵システムは、大量の電気エネルギーを必要とする用途で高い性能を発揮します。これらのユニットには、革新的な高密度リチウムイオンバッテリが組み込まれています。1回の充電で12時間以上電力を供給でき、用途によってはわずか3時間でフル充電できます。さらに、高度なバッテリ技術が採用されているため、従来の代替製品と比較してコンパクトかつ軽量で、移動性に極めて優れています。そのため、レース会場を簡単に移動できます。

 

さらに、アイランドモードで運転すると、これらのエネルギー貯蔵システムは、排出ガスを発生せずに運転することができ(市の中心部での使用に不可欠)、必要に応じて回復力と持続可能性に優れたエネルギーをオンデマンドで提供し、大幅な節約を実現します。 

当社は、STCCと密接に協力して要件を十分に理解したうえで、定格出力250 kVA、貯蔵容量575 kWhで、簡単に使用と設置ができるZBC 250-575モデルを推奨しました。また、2台のユニットをトレーラーに載せ、レーシングカーの充電プロセスの仕様に合わせて移動型エネルギーステーションを設計しました。

Fredrik Alund , アトラスコプコビジネスラインマネジャー

技術の実証

STCC電気自動車のデモンストレーション

STCC電気自動車のデモンストレーション

2023年には多くの展示会があり、STCCは新しい電気自動車を発表し、その技術を実証するデモンストレーションを実施しました。これらのデモンストレーションでは、2基の移動型エネルギーステーションが電気レーシングカーの充電に使用され、各ステーションにはZBC 250-575エネルギー貯蔵システムが2台搭載されています。今年、直近のデモンストレーションはマントープのSTCC閉会イベントで実施され、新しいCUPRA BornとTesla Model 3を11,000人以上の参加者に紹介しました。

 

「当社は限界までシステムをテストしてきましたが、とても良好に機能しています」と、トールビョーン氏は説明します。「STCCでは、レースイベントで使用するローダーの充電にもZBCシステムを使用できるようになりました。」

心弾む未来

2024年シーズンは、前年よりも持続可能性が高まり、よりエキサイティングに観戦できるでしょう。強力な後輪駆動車は500馬力超を発揮し、汎用パーツで設計され、接近戦を促進する空気力学を備え、ABSやスタビリティコントロールなどのドライバ支援機能をすべて排除しているため、競技ではドライバのスキルがより問われます。

 

「アトラスコプコの専門知識がなければ、電気ツーリングカーレースを推進して、このような歴史を作ることはできなかったでしょう」と、ミッケ氏は言います。「同社の技術により、新しい電気自動車競技会が実現し、電気ツーリングカーレースに有望な未来が拓かれました。また、国際的にも大いに関心が集まっています。」

 

「先駆的な取り組みでSTCCと協力できたことを光栄に思っており、その目標達成を支援できたことをうれしく思います」と、フレデリック氏は締めくくりました。「ヨーテボリでの最初のレースを楽しみにしており、2024年シーズンを心待ちにしています。」

当社のエネルギー貯蔵システムのシリーズについてもっと知りたいですか?

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