以下のガイドラインに従って、チゼルの性能を回復させるためにどの手順が必要かご確認ください。
最高の作業効率を維持するには、摩耗したチゼル先端の研磨が重要です。ただし、研磨のたびにチゼルを焼入れする必要はありません。
チゼルの状態確認
- チゼル先端が少し摩耗した状態であれば研磨するだけで十分です。この場合、熱処理は不要です。 チゼルがひどく摩耗した状態の場合は、研磨前に整形が必要になることがあります。
- チゼルを無心焼入れして、あまり熱をかけずに入念に再整形した場合、その後の焼入れは必要ありません。
- チゼルを浸炭焼入れした場合、再整形すると焼入れされていないチゼル中心部が露出する可能性があります。そのため、再整形後にチゼルの焼入れが必須となります。
- チゼルがひどく損傷している場合、再整形ではなく、再鍛造されることをお勧めいたします。 処理時の熱により焼入れ効果が消失することがあるため、再鍛造の後に必ず焼入れが必要です。焼入れ後に、チゼルの研磨をお勧めします。鋭利なチゼルを使うと作業効率が向上します。
チゼルの熱処理
鍛造などの処理は、必ず以下の指示に従って実施してください。 摩耗したチゼルを再鍛造する場合、およびチゼルを適切な形状に整えるために鍛造する場合には、強度のロスを防ぐために、できるだけ領域を制限して熱処理を実施するようにしてください。
鍛造
- 指定の温度までチゼルをゆっくりと加熱します。
- 最終鍛造は下限温度で実施してください。
- チゼルを乾燥炭(粉コークス)で冷却します。
Forging a chisel at 850-1050°C
焼入れ
- 鍛造時の熱で直接チゼルを焼入れしないでください。
- 熱を低温からゆっくりと800 ℃まで上げます。加熱処理に時間をかけるほど、チゼルをうまく焼入れできます。
- オイルでチゼルを冷却します。
Cool down hardened chisel in a bucket with oil
焼戻し
- 指定の温度でチゼルを1時間焼戻します。
- 焼入れと焼戻しの終了後、チゼルの硬度は55~58 HRCになります。
Tempering a chisel at 220°C
所定の方法で熱処理を実施しないと、チゼル先端が極端に脆くなり、欠けたり割れたりするおそれがあります。不正な熱処理を行うと、チゼルの硬度を損ない、チゼル先端の早期摩耗や変形につながる恐れがあります。
アトラスコプコの打撃・粉砕ツールの詳細は、こちらからご覧ください