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電動ポンプとディーゼルポンプ

電動ポンプかディーゼルポンプか? 動力源としてどちらを選ぶか? これは、排水ポンプの技術を選択する上で今最もホットな議論です。

同じように、この決断は工事、鉱業、公益事業、自治体などの各分野での業務に使用する排水ポンプ技術を選ぶ際にもいえることです。

しかしこれは、自動車に関する議論のように技術的優位性を競って勝者を決めるものではありません。これは、機器の性能と能力を排水用途のあらゆる側面と一致させることをベースにした常識的な選択プロセスです。どんな決定をする際にも、必要な量、流量/揚程の仕様、ポンプを使用する水と物質の構成といった重要要素を考慮する必要があります。ポンプ能力には、運転条件、現場のアクセス性、プロジェクト期間、環境問題、装置の自律性といったさまざまな要素を含む必要があります。

電動ポンプかディーゼルポンプか

ディーゼルポンプにするか電動ポンプにするか、購入するかレンタルするか選択する際に重視すべき5つの重要な考慮事項を次に示します。

1. 動力と流量

耐久性と信頼性を重視して製造されたディーゼル駆動の遠心ポンプは、大量の排水処理を想定して設計されています。運転流量範囲は通常、50~830 m3/時(220~3654米ガロン/分)、揚程は最大51 m(167フィート)です。さらに、これらのポンプは幅広い速度範囲で運転可能なため、各種の用途および流量/揚程に対応できます。

これに比べて、中~大型の電動水中ポンプの最大定格出力は80 kW程度で、通常は最大で20000リットル/分(5283米ガロン/分)の流量を最大揚程85 m(279フィート)で処理できます。これらは一般的な範囲ですが、さらに高揚程のポンプもあります。

ディーゼル駆動式遠心ポンプは、大きな固体粒子に対処できます。

水中ポンプにはさまざまな性能のものがあります。

2. 固形物への対処

ディーゼル駆動式遠心ポンプは、浄水にも廃水にも使用できるだけでなく、ゴミや繊維性物質にも対応します。セミオープンインペラや耐摩耗性ポンプケーシングなどの機能を備えており、最大76 mm(3インチ)の大きさの固形物を処理する能力があります。排水接続部は通常、直径75~200 mm(3~8インチ)です。
一方、電動水中ポンプの場合は、浮遊物質の処理に適した硬化インペラを装備したとしても、対応可能な摩耗性物質や固形物は最大12 mm(0.5インチ)に留まります(スラッジポンプではより大きくなります)。

3. 用途

電動水中排水ポンプは、運搬しやすく、取り扱いも容易であり、緊急時などの排水用途に対応した電力定格と容量範囲のポンプが多く用意されています。電動水中排水ポンプは、建設現場や採掘現場、堆積物タンクの排水など設置面積の小さいポンプが必要な場合や、坑内採鉱や排出ガスが禁止されている場所などでディーゼルポンプを使用できない用途に役立ちます。

一方、完全自動の自給式ディーゼル遠心ポンプは、発電機や公共電力のような電源がない場所にとって、高速排水ソリューションのほとんど唯一の選択肢となります。これは、工事現場や採石場の排水、洪水、排水路、行政用途などで大きな摩耗性固形物が浮遊した水を運んだりくみ上げたりするための理想的なソリューションです。また、これらのポンプ装置にフォークリフトスロットと組み込み式吊環が装備されていれば、遠隔地での運搬や保管が簡単になります。

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電動水中ポンプ

運搬しやすく、取り扱いが容易
排出ガスが禁じられている用途

用途:

  • 緊急(洪水)
  • 鉱業
  • 建設

PAS 150、ディーゼル遠心ポンプ

ディーゼル遠心ポンプ

電源供給が困難な場所における、大きな摩耗性固形物が浮遊している水の高速排水のためのソリューション

用途:

  • 緊急(洪水)
  • ユーティリティ
  • 建設
  • 輸送性
  • 石油およびガス

4. 性能

排水ポンプは無人で数時間、さらには数日間運転できるため、深い場所から水を吸い上げたり、水面を下げたりすることが求められる環境でも、厳しい要求に応えることができます。一部のモデルは、最大2,000時間の無人運転が可能で、長時間の乾燥運転にも耐えられる設計になっています。水中ポンプは水中に設置するため、氷点下であっても、ポンプが完全に水中にあれば動作させることができます。電動ポンプは、市街地や夜間の運転で静音運転が必要になる場合に対応できる環境適合性を備えています。

遠心ポンプに信頼できるエンジンと大容量クーラを搭載すると、厳しい周囲条件であっても連続して安全に運転できます。約40時間の燃料自律性とともに、オイルフリーダイヤフラム真空ポンプの自動プライミングが、空気量の多い状態(いびき状態)での連続排水を可能にしました。さらに、大型燃料タンクを装備した一部のポンプは、より長い時間、燃料を補給することなく運転できます。

5. メンテナンスと整備

電動水中ポンプの耐久性が非常に高いのは、耐摩耗性に優れているからです。一方、これらのタイプのポンプはモジュール式構造なので、メンテナンス手順が簡単です。一部のモデルには、現場整備および部品交換キット(シールやインペラなど)を搭載することもできます。


摩耗部品やエンジンフィルタの交換を別にすれば、遠心ポンプのメンテナンスは簡単でシンプルです。さらに、この種の機器がレンタル会社にとって魅力となるもう1つの部分は、データ監視機能を備えた高度なコントローラが組み込まれているため整備が必要になったときに警告が通知される点です。

まとめ

排水ポンプ

電動およびディーゼル排水ポンプ

最終的に重要なのは、使用場所、アクセスポイントの深さ、汲み上げる水/混合物の性質、作業完了までの運転時間などの用途の詳細です。適切なポンプを選ぶために重要なのは、静的揚程および必要なホースの長さや直径などの物理パラメータです。機器メーカーが公表している流量対揚程の性能曲線を解釈してBEP(最高効率点)を調べ、この性能を発揮する最高のポンプを見つける必要があります。さらに、摩擦損失やキャビテーションの問題も考慮する必要があります。結論として、正しい選択をすることは簡単ではありませんが、機器のサプライヤやレンタル会社の専門的なアドバイスを得られれば、排水ポンプを選ぶ際に満足の行く結果を得ることができます。

排水ポンプ

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電動ポンプとディーゼルポンプ

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