熱回収システムがもたらす変化
ポルトガルのビラドコンデを拠点とする半導体メーカーNanium社とアトラスコプコは、サステイナブルな生産性を目標として16年にもわたって提携関係を築いてきました。Nanium社は当初から、高品質エアを得るためドライヤとフィルタリング装置を組み合わせて、アトラスコプコのオイルフリーコンプレッサを採用してきました。Nanium社のインフラ管理担当ディレクター、カルロス・コスタ氏は、「アトラスコプコは、信頼性と空気品質の最も厳しい要件が求められる半導体工場の設備で豊富な経験を有しています」と、断言します。
当社はフルロード運転を念頭に機器を選定しましたが、可変速駆動のコンプレッサを使用すると、施設での空気消費量に応じて圧縮空気の生産を調整できます。そのため、高いレベルのエネルギー効率が達成できるとともに、コンプレッサの運転が最適化されます。
オイルフリーエアコンプレッサによるエネルギー効率の改善
Nanium社では、工場のエネルギー消費量を改善できるコンプレッサを採用しました。現在同社の工場では、アトラスコプコのZR300 3台、可変速駆動(VSD)のZR315VSD 1台、ZR400 1台の計5台の水冷式オイルフリーロータリスクリュコンプレッサが稼働しています。圧縮空気はほぼ100%クリーンルーム内で使用され、製造中の製品に直接触れます。そのため、各コンプレッサに加熱式ブロワパージ乾燥剤式エアドライヤ(BDドライヤ)を組み合わせて、高品質の露点(圧力下露点-40℃未満)の空気を生成しています。Nanium社では、ISO 8573 Class 0 規格に適合する油分ゼロで低い粒子混入率という厳しい基準も満たさなければなりません。
ガス消費量を90%削減:ER900
ER900は、コンプレッサから熱水として熱を回収します。Nanium社のニーズに対応するため、使用中のコンプレッサから冷却水が約80℃で排出されるように変更を加えました。この熱水が熱交換器に送り出され、その二次回路で環水がボイラに循環します。その結果、一次エネルギーであるガスの使用量を劇的に削減できます。
「これにより、ガスバーナーを装備したボイラの使用を実質的に停止できるようになり、CO2排出量だけでなくエネルギーコストも大幅に削減できました」と、コスタ氏は説明します。また、工場の天然ガス消費量も約90%削減されました。さらに、熱回収システム導入により、コンプレッサのエネルギー消費量も削減できました。
最適なコンプレッサ稼働時間
2社の提携には、機器導入のほか、アトラスコプコの機器メンテナンスサービスも含まれています。コスタ氏はこのサービスに信頼を寄せており、「コンプレッサを導入してから15年になりますが、1日24時間稼働しても大きな故障は発生せず、かなりの節約を達成できました」と述べています。