容積式コンプレッサの調整
多くの場合、各用途において圧縮空気システム内の圧力が一定でなければなりません。これは、コンプレッサセンタからの圧縮空気のフローを調整する必要があるということです。ここでは、容積式コンプレッサの様々なフロー調整原理について説明します。
容積式コンプレッサの調整方法 - 9つの調整原理:
圧力解放
元々のコンプレッサの調整方法は、プレッシャーリリーフバルブを使用して過剰な空気圧を大気中に解放するというものでした。このバルブは非常にシンプルな設計で、スプリングを装着すれば、このスプリングの張力により最終圧力を決定することができます。また、その代りにレギュレータが制御するサーボバルブもよく用いられています。こうすると圧力を容易に制御することが可能で、プレッシャーリリーフバルブが、圧力がかかった状態でコンプレッサを起動する際にオフロードバルブの役割も果たします。圧力解放では、コンプレッサが最大逆圧に対して連続動作しなければならないため、エネルギー消費量が多くなります。小型のコンプレッサでは、コンプレッサが大気圧に対して動作するようにバルブを完全に開放することでコンプレッサの負荷を取り除くバリエーションが使用されています。この方法を用いると、消費電力は大幅に少なくなります。
バイパス
バイパス調整は、基本的に圧力解放と同様に機能します。違いは、圧力解放された空気は冷却され、コンプレッサの入口に戻されることです。多くの場合、この方法はガスが大気中への放出に向いていないか、重要で放出できないプロセスコンプレッサで用いられています。
入口のスロットル調整
スロットル調整は、入口に加えた降圧に従ってコンプレッサ全体の圧力比を高めることにより、フローを減少させるシンプルな方法です。ただし、この方法は調整範囲が狭い場合に限られます。このような高い圧力比に対応できる液体インジェクション式コンプレッサは、最大容量の10%まで調整可能です。スロットル調整方法は必要となる圧力比が比較的高いため、要求されるエネルギー量は多くなります。
スロットル調整された入口を使用した圧力解放
これは、現在最も一般的に用いられている調整方法です。調整範囲が極めて広く(0~100%)、またエネルギー消費量も少なくて、コンプレッサのオフロード時(ゼロフロー)時の全負荷電力の15~30%に過ぎません。入口バルブが閉じられますが、同時にブローオフバルブがわずかに開いて、コンプレッサから吐出空気が放出されます。したがって、入口が真空の状態かつ低逆圧でコンプレッサエレメントが動作します。負荷から無負荷への移行中の不要な損失を防ぐため、圧力解放を迅速に実行し、放出される空気量を抑制することが重要です。このシステムにはシステムバッファボリューム(エアレシーバ)が必要で、そのサイズは、負荷圧力限界とオフロード圧力限界の意図する差と、許容される1時間当たりのアンロードサイクル数により決まります。
起動/停止
5~10 kW以下のコンプレッサは、多くの場合、圧力が上限値に達すると電動モータを完全に停止し、圧力が下限値を下回ると再起動することにより制御されています。この方法では、電動モータに対する熱負荷を最小限に抑えるために、システムバッファが大きいか、上下限間の差圧が大きいことが必要です。起動回数を少なくしておけば、エネルギー効率と効果が高い調整方法です。
回転数制御
内燃エンジン、ガスタービン、または周波数制御の電動モータによりコンプレッサの速度、さらには流量を制御します。安定した吐出圧力と低いエネルギー消費量を保てる効率的な方法です。調整範囲はコンプレッサの種類によって異なり、液体インジェクション式コンプレッサの場合に最も大きくなります。速度調整と低度の負荷における起動/停止および静止時における圧力解放を組み合わせることがよく行われています。
関連記事
4 8月, 2022
圧縮空気を扱う方法とこれらのプロセスで使用するツールには様々なものがあります。圧縮空気流量の調整プロセスの詳細をご覧ください。
23 2月, 2022
圧縮空気を扱う方法は様々で、これらのプロセスで使用するツールにも多様なものがあります。ダイナミックコンプレッサのエアフローの調整について詳細をご覧ください。
31 5月, 2022
コンプレッサシステムの設置は以前よりも簡単になりました。それでも留意すべき点がいくつかあります。最も重要なのは、コンプレッサをどこに設置するかと、部屋の中でコンプレッサの周囲をどのような配置にするかです。こちらで詳細をご覧ください。