音とは
すべての機械は音と振動を発生します。音とは、空気(弾性媒質)を通して縦波として伝わるエネルギー形態です。音波は周囲の空気圧をわずかに変化させます。この変化は、感圧測定装置(マイクロフォンなど)によって測定できます。
音響パワーと音圧とは
音源が音響パワーを放出すると、空気の音圧が変動します。原因は音響パワーで、結果は音圧です。次のような似た例について考えてみましょう。電気ヒータが部屋に熱を放出すると、温度が変化します。部屋の温度変化が部屋自体に左右されることは明らかです。しかし、投入電力が同じであれば、ヒータは同じパワーを放出し、これは環境にはほぼ無関係です。音響パワーと音圧の関係も同様です。私たちが聴いているのは音圧ですが、この圧力は音源の音響パワーによって生じているのです。音響パワーはワット単位で表されます。音響パワーレベルはデシベル(dB)単位、すなわち対数スケール(dBスケール)で表され、基準値は次のように標準化されています。
観測される音圧は、音源からの距離および音波が伝搬する音響環境に応じて異なります。室内の騒音の伝搬は、部屋の大きさと表面材の吸音に応じて異なります。このため、機械から発生する騒音は、音圧だけを測定しただけでは完全に数値化できません。音響パワーはあまり環境に依存しませんが、音圧は環境に依存します。したがって、音圧レベルに関する情報は、音源から測定位置までの距離(特定の規格の規定に従うなど)と測定を実施した部屋の室定数という追加情報で必ず補う必要があります。そうでなければ、部屋は制限のない(開放された場)と見なされます。制限のない部屋には、音波を反射して測定値に影響を与える壁が存在しません。
吸音とは
音波が面と接触すると、あるものは反射し、あるものは表面材に吸収されます。それゆえ、特定の瞬間における音圧は常に、一部が音源で生じた音で構成され、一部は周囲の面に反射した(1回以上の反射後)音で構成されます。面がどの程度効果的に音を吸収するかは、素材の組成によって異なり、一般的に吸音率で表されます(吸音率は0~1で、完全に反射された場合は0、完全に吸収された場合は1です)。
室定数およびその計算方法とは
部屋が音波の伝搬に与える影響は、室定数によって決定します。複数の面、壁などが部屋の内側にある場合、その部屋の室定数は様々な面のサイズと吸音特性を考慮して、次の式で計算します。
残響
音響パワーレベルと音圧レベルの間の関係
特定の状況下では、音響パワーレベルと音圧レベルの関係をシンプルな方法で表すことができます。反射する面のない室内の音源や近くに壁のない屋外の音源などから音を発すると、すべての方向に均等に放射状に音が拡散するため、音源からの距離が同じ点では音の強さの測定値は同じです。したがって、音源の周囲の球面上にあるすべての点の音の強さは一定です。音源からの距離が2倍になると、その距離の球面は4倍になります。このため、音源までの距離が2倍になるごとに音圧レベルが6 dB減衰すると推論できます。ただし、これは部屋の壁が硬くて音が反射する場合には当てはまりません。その場合は、壁によって反射される音を考慮する必要があります。
Qに対しては、次のように経験値を使用できます(音源が他の位置である場合、Qは推定値でなければなりません)。Q=1 音源が広い部屋の中央で吊り下げられている場合Q=2 音源が音を反射する硬い壁の中央付近に置かれている場合Q=4 音源が2つの壁が交差する箇所の近くに置かれている場合Q=8 音源が隅の近くに置かれている場合(3つの壁が交差する箇所)
音響パワー源の近くでは、距離が2倍になるごとに音圧レベルが6 dB減衰します。ただし、音源からの距離が増えると、反射した音が音圧レベルに及ぼす影響が大きくなるため、距離が増加したことによる減衰は最小限になります。機械の中心から聴く人までの距離が機械の最大寸法の2~3倍よりも短い場合、ボディやフレームを通して音を伝える機械は点音源の働きをしません。
音の測定方法
複数の音源が相互作用するとどうなるか
複数の音源が共通のレシーバに向けて音を発しているときは、音圧が上昇します。しかし音のレベルは対数的に定義されているため、代数計算のような単純な足し算はできません。動作している音源が3つ以上あるとき、最初に2つを加算し、その後で次の音源を最初の合計に追加するといったことを続けます。同じレベルの2つの音源を加算しなければならないとき、結果は3 dBの増加となるので覚えておいてください。背景音は特殊なケースであり、引き算が必要です。背景音は別な音源として扱われ、値は測定した音レベルから差し引かれます。
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