産業プロセスにおける廃熱とは何か

様々な産業プロセスで熱が副産物すなわち未利用のエネルギーとして発生します。設備機器、機械、または産業システムは、運転中に熱の余剰分を放出します。この記事では、産業プロセスにおける廃熱に関連する幅広いトピックに触れます。

産業廃熱とは、特に製造、発電、化学品製造、精油などの産業プロセスによって発生する残留熱を指します。こうしたプロセスは、具体的な運転の過程でしばしばエネルギー変換や熱利用を伴いますが、投入されたエネルギーの全量を使用するわけではありません。一部のプロセスでは熱をただ放出し、利用していません。 

熱力学の法則

余剰熱を理解するためには、熱力学の法則に目を向けなければなりません。熱力学の第二法則によれば、熱機関などで温度差をエネルギーに変換した場合、廃熱が発生することになります。換言すれば、エネルギー変換プロセスは効率の点で不完全であり、一部の熱は常に拡散します。

各種産業プロセスで、副産物として大量の熱が発生します。熱の余剰分は冷却システムまたは排気装置で大気中に放出され、いかなる目的にも利用されません。 

余剰熱は、その本来の目的に直接使用されないため、「廃熱」とみなされますが、依然として大量のエネルギーを保持していることがあります。多くの業界では、熱を回収して使用し、エネルギー効率を改善し、コストを削減し、二酸化炭素排出量を削減するために廃熱回収システムを使用しています。

お客様の工場の放熱源はどこでしょうか

コンプレッサ室では、廃熱とは、コンプレッサおよび関連機器の運転から生じる過剰な熱を指します。プロセスでは、ガスまたは空気の加圧のためにコンプレッサを使用します。この過程には通常、電気エネルギーまたは機械的エネルギーの熱への変換が含まれます。 

ガスを圧縮する際、コンプレッサは気体の圧縮にエネルギーを使用し、副産物として熱を生成し、周囲に熱を放出し、コンプレッサ室全体の温度を上昇させます。 

工場内の具体的な廃熱源を特定するには、現場での評価と、工場のプロセスと機器の理解が必要になる場合があります。 

廃熱源を見つけ、廃熱を効率的に使用できるかどうかを判断するには、エネルギー診断を実施する必要があります。また、エネルギーの専門家に相談して、工場のエネルギー使用量やプロセスを分析し、廃熱が発生する具体的な領域を特定することもできます。また、熱の回収と利用に関する推奨事項を受け取って、エネルギー使用量削減と環境への影響の低減に役立てることもできます。 

工業プロセスでは、燃料を燃やして発電したり暖房用蒸気を作ったりなど、エネルギーをある形から別の形へと変化させます。
こうしたエネルギー変換プロセスにおいて、副産物として大量の熱が放出されます。

一般的な廃熱源

コンプレッサ：気体を加圧し、運転中に廃熱を発生させます。 
処理水：水の加熱または冷却を必要とする工業プロセスは、廃熱を生じる可能性があります。精油所、化学プラント、発電所などでは、冷却システムから出る水に廃熱が含まれています。
工業用のボイラーや炉：加熱または蒸気発生に使用されると、副産物として廃熱が生じる可能性があります。 
排気ガス：発電所、炉、ボイラー、およびエンジンなどの燃焼プロセスを使用する工業プロセスでは、副産物として高温の排気ガスが発生します。排気ガスには、利用可能な大量の熱エネルギーが含まれています。
冷却システム：産業プロセスでは、運転中に発生する過剰な熱を除去するために冷却システムを使用することがよくあります。クーリングタワー、コンデンサ、冷蔵ユニット、空調システムは、回収可能な廃熱を生じます。
工業用オーブンや炉：食品加工、窯業、冶金など、さまざまな産業で乾燥、ベーキング、熱処理などの熱を使用する工程に工業用のオーブンや炉が使用されています。こうした機器設備から生じる熱を回収して再利用することができます。こうした機器設備は再利用可能な廃熱を生じるのです。
エンジンとタービン：エンジンやタービンなどの発電装置は、燃焼過程で廃熱を生じます。 
工業プロセス：製鉄やガラス製造などでは加工過程で副産物として廃熱を生じます。化学業界でも製造時に反応熱が発生します。 
多くの産業で、加熱、滅菌、発電などのため、広く蒸気を使用しています。こうした蒸気システムからの凝縮水と低圧蒸気が、廃熱の原因となる可能性があります。
産業機器設備：機械類、モータ、トランスなどは、工業プロセスでの運転中に廃熱を発生する可能性があります。この熱を回収して再利用することができます。
熱交換器：工業界では、さまざまな加工プロセスで、熱交換器を使用してある媒体から別の媒体に熱を伝達しています。熱伝達を最適化しないと、廃熱が発生する可能性があります。